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離婚時の財産分与にかかる税金と節税方法。対象となる金額や控除を押さえて備えよう

離婚時の財産分与にかかる税金と節税方法。対象となる金額や控除を押さえて備えよう

離婚時の財産分与には、税金がかかるのでしょうか。離婚協議中は考える余裕がなくても、離婚直後にもし高額な課税がされてしまうと、新たな生活もままならなくなってしまいます。この記事では、財産分与の対象とはどんなものか、税金はかかるのかについてわかりやすく解説します。

2021.10.05 第一分野

離婚時の財産分与とは

財産分与とは、結婚(同居)していた間に協力して築き、維持した財産を、離婚時に夫婦それぞれで分け合うものです。財産分与には「清算的財産分与」「扶養的財産分与」「慰謝料的財産分与」の3種類があります。

清算的財産分与

「清算的財産分与」は、夫婦の共有財産をそれぞれの貢献度によって分け合う性質のものです。

扶養的財産分与

「扶養的財産分与」は、離婚によって生活が不安定になる側にもう一方が生活費を援助する性質のものです。

慰謝料的財産分与

そして「慰謝料的財産分与」は、一方の配偶者に離婚の有責性がある場合に慰謝料的要素を考慮する性質のものをいいます。

財産分与は、離婚原因を作った側からでも請求できます。 寄与度や貢献度に応じて分配割合を決めることになりますが、一方が専業主婦(主夫)であっても最近では2分の1となるケースがほとんどです。

主婦(主夫)が家事・育児を支えることで、もう一方の収入を実現することができたと言えるからです。

財産分与の対象となるもの

財産分与の対象となるのは、夫婦が婚姻中に協力しあって築いた共有財産のすべてです。預貯金、現金、有価証券、不動産、自家用車、保険金、絵画や骨董品なども対象となります。

住宅ローンや子供の教育ローンなど、マイナスの財産も含まれます(一方の趣味やギャンブルによる借金を除く)。

退職金も、賃金の後払いといった性格があるため、すでに支払われている分はもちろん、支払われることが確定している分については原則対象となります。

具体的には、離婚時に自己都合で辞めた場合に受領できるであろう退職金額を基準として、月割りしたものを婚姻期間に反映した額が、対象となります。

財産分与の対象とならないもの

夫婦が婚姻中に協力しあって築いた財産でないものは、財産分与の対象となりません。

具体的には、結婚前にためていた預貯金や、ローンの頭金として一方の親から贈与された財産、両親や祖父母から相続した財産などは、特有財産という扱いとなり、原則として財産分与の対象とはなりません。

税金がかかる離婚給付について

財産分与や慰謝料、養育費といった離婚に伴って支払われる金銭を、「離婚給付」といいます。離婚給付は原則として、金銭で支払われる場合には支払う側も受け取る側も税金は課されません。では、税金がかかるケースとはどんな場合があるかについて解説します。

離婚時の財産分与

離婚時の財産分与では、分与する財産の形態によって税金がかかるものとかからないものがあります。表にすると以下のとおりです。それぞれのケースについて、詳しく解説します。

金銭による財産分与の場合

金銭による財産分与は、原則として支払う側も受け取る側も、税金がかかりません。財産分与は基本的にもっている財産の清算にあたり、離婚に伴って新たに贈与を受けるものではないからです。

ただし、以下のいずれかに当てはまる場合には贈与税がかかります。

贈与税がかかるケース
  • 財産分与の金額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合。この場合は、その多過ぎる部分に贈与税がかかります。
  • 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合。この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかります。

株式等による財産分与の場合

株式や骨董品、絵画などの現物を分与する場合、その名義人(支払う側)に譲渡所得税がかかる場合があります。ただし、いずれも購入したときよりも離婚時の価値が上がっているときに限ります。

なお、上場株式の評価方法としては離婚成立日の終値や過去3カ月の平均株価などで評価しますが、非上場株式の場合はどんな評価方法を使うべきか決まっていません。

複数の評価方法を用いて算定する裁判例もありますが、離婚する当事者間で折り合いがつかない場合には、弁護士などの専門家に相談するのがよいでしょう。

一方で、株式などを受け取る側は原則として税金がかかりません。

不動産による財産分与の場合

不動産の場合も、購入時より離婚時の不動産評価額が高いときは、不動産を譲り渡す側に譲渡所得税がかかります。

受け取る側の税金としては、名義変更する際の登録免許税や、毎年納める固定資産税がかかります。また、分与額が過度に高額な場合には贈与税が課されることがあります。

この他にも、分与が清算的な意味合いでなく「慰謝料的財産分与」または「扶養的財産分与」に相当すると認められる場合には、受け取る側に不動産取得税が課されます。これらの税金がかかるケースについて、詳しくは後述します。

離婚時の慰謝料

離婚時の慰謝料は、有責配偶者の行為によって受けた精神的な苦痛に対する損害賠償です。一方が不貞や暴力などによって離婚原因を作った場合に請求できます。

慰謝料の金額は、有責性や精神的苦痛の度合いなどによって算定されます。不貞行為の場合の相場は、50万~300万円程度です。

慰謝料は損害賠償なので、金銭によって支払われる場合にはこれも原則非課税となります。ただし、高額すぎる場合などは贈与税が課されることもあります。

また、不動産で支払われる場合の税金についても財産分与の場合と同様です。支払う側に譲渡所得税が、受け取る側に登録免許税、固定資産税、不動産取得税がかかる可能性があります。

離婚後の養育費

養育費は、子どもが生活するために必要な費用のことで、通常、子どもを引き取って育てる親(監護親)に、引き取らない親(非監護親)が支払う方法が取られます。

親には離婚後であっても子どもを扶養する義務があり、子どもは扶養を受ける権利があります。養育費は、生活費または教育費に充てるために通常必要と認められる範囲であれば、支払う側も受け取る側も原則として課税されません。

ただし、将来の養育費まで一括して受け取る場合には、必要な限度を超えるものとみなされて贈与税の課税対象となる可能性があるので注意しましょう。

不動産にかかる税金

前述の通り、財産分与等によって税金がかかるケースの多くは、その財産が不動産のときです。そのため、ここでは財産分与・慰謝料が不動産で支払われる場合の税金について、詳しく解説します。

財産分与における不動産の評価額

まず、不動産の評価方法について説明します。

不動産の評価は、基本的に離婚時の時価で算定します。評価額には幅があるので、複数の不動産会社に見積もりをしてもらいましょう。評価額に争いがある場合は、不動産鑑定士に見積もりをしてもらうこともありますが、鑑定手続きには数十万円の費用がかかります。

不動産の売却額よりも住宅ローン残高が少ない場合(アンダーローン)は、不動産の評価額からローン残高・諸費用を差し引いた額が財産分与の対象となります。

逆に不動産の売却額よりも住宅ローン残高が上回る場合(オーバーローン)には、当該不動産は財産分与の対象から外されます。通常、資産価値がないとみなされるためです。

ただしその場合は、借入先金融機関の承諾を得ることで「任意売却」の手続きも可能です。これは、売却額の決定や売買手続きを金融機関が行ってくれるもので、支払える範囲で返済ができる、退去時期を相談できる、税金の一部が控除されるなどのメリットがあります。

不動産を譲り渡す側の税金

不動産を譲り渡す側に課される税金には、譲渡所得税があります。譲渡所得税とは、譲渡所得にかかる所得税と住民税のことです。

譲渡所得税

譲渡所得税が課されるのは、購入時よりも不動産の価値が上がり、譲渡益が出る場合が該当します。分与する側が、資産を売却して得た代金を支払ったものとみなされるためです。

譲渡所得で利益が発生する場合は確定申告をする必要があり、課税譲渡所得金額に所定の譲渡所得税率を掛けた額が税額となります。

不動産を受け取る側の税金

財産分与等によって不動産を受け取る側は、常に税金がかかります。高額な物件であればこれらの税金も高額になりますので、夫婦がどのように負担するのかをあらかじめ取り決めておかないと、思わぬ出費となってしまうでしょう。

不動産取得税

不動産取得税は、離婚時に「共有財産の清算」として不動産を受け取る場合には、原則かかりません。

ただし、相場と比較して譲り受けた不動産の額が高すぎる場合には、課税される可能性があります。その相当性を客観的に説明できるような根拠を用意しておくことが必要です。

また、清算的な意味合いでなく「慰謝料的財産分与」または「扶養的財産分与」に相当すると認められる場合にも、受け取る側に不動産取得税が課されます。

登録免許税

登録免許税は、土地や建物の名義変更(登記)手続きにあたり必要となる税金です。これは不動産取得税と異なり、適正な額の分与であっても支払う必要があります。

財産分与における税率は不動産評価額の2%で、原則現金で納付手続きを行います。高額な土地や建物であれば登記するだけで数百万円もかかるため、財産分与の協議では、この費用をどちらが負担するかも決めておく必要があります。

固定資産税

固定資産税は、課税標準額の1.4%(標準税率の場合)です。住宅用地については特例制度や負担調整率が適用されるため、一般的に固定資産税評価額よりも課税標準額のほうが低くなります。毎年1月1日時点の固定資産の所有者に、支払い義務があります。

所有権移転登記には期限がありませんが、登記を怠っていた場合、その物件は相手方のものなので第三者に売り渡されても対抗できなくなってしまいます。財産分与を受けたら、すぐに登記の手続きを済ませることが重要です。

税金控除の特例を使う方法

前述の通り、不動産の譲渡には課税が避けられません。ただし、不動産を譲渡する側は、代表的な2つの税金控除の特例を利用することで節税ができます。それらの特例制度について、どのような条件で利用できるかを説明します。

3000万円の特別控除の特例

居住用不動産を譲渡する側は、その不動産価額の3000万円分に対応する税金が控除されます。この特別控除を利用するには、以下のすべてを満たすことが条件です。

特例利用の条件
  • 譲る側と受け取る側が、親子や夫婦など特別な関係でない
  • 自分が住んでいる家屋を譲渡するか、家屋とともにその敷地や借地権を譲渡する
  • 譲渡した年、その前年、前々年にこの特別控除や他の特例を受けていない など

この特別控除は夫婦関係では利用することができないため、利用する場合には離婚後に当該不動産の譲渡を行う必要があることに注意しましょう。

また、この特例を受けるためには確定申告をすることが必要です。確定申告書に所定の書類を添えて提出しましょう。

軽減税率の特例

10年を超えて居住している持ち家の場合、譲渡所得にかかる所得税や住民税が軽減されます。この軽減税率の特例を受けるには、以下のすべてを満たすことが条件です。

特例利用の条件
  • 譲渡した年の1月1日においてその家屋や敷地の所有期間が10年を超えている
  • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して譲渡したものではない
  • 日本国内にある自分が住んでいる家屋か、または家屋とともにその敷地を譲渡する
  • 譲渡した年の前年及び前々年に、この特例を受けていない など

この制度も、夫婦間では利用できないため離婚後に譲渡を行う必要があります。また、この特例を受けるためには確定申告をすることが必要です。確定申告書に所定の書類を添えて提出します。

これらの2つの特例は、同時に使うこともできます。より詳しい条件については、弁護士や税理士といった専門家に相談してみまししょう。

まとめ

離婚の財産分与は、当事者同士だとどうしても争いになり、折り合いがつかないことが多い話し合いです。また、婚姻期間が長いほど金額が多額になる傾向にあるため、税金の支払いを見落としたままだと、離婚後に思わぬ出費となる恐れもあります。

離婚協議に入ったり、別居をし始めたりするときに備え、あらかじめ離婚相談に長けた信頼できる専門家を見つけておきましょう。困ったときにいつでも相談できるようにしておくことが大切です。

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